ブラックユーモアホフマン

台風クラブのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

台風クラブ(1985年製作の映画)
4.6
怖い映画だ。
とても一度では反芻しきれない。

ラリー・クラークの『KIDS/キッズ』を想起した。ティーンエイジャーの抑えられない暴力衝動と性衝動が爆発し、自分たち自身でも何をしているのか理解できておらず、コントロールできてない感じ。獣だ。

『牯嶺街少年殺人事件』にも似てると思ったし、『ヒルコ/妖怪ハンター』のことも思い出した。

このハレの感覚は川島雄三の映画にも近いのかもしれないとも、川島雄三の映画をロクに観たことないけど思った。

三上は、秩序のない狂った世界への抗議として最後の行為に及んだように見えた。
もしくは、自分も三浦友和のような大人になってしまうことから逃れられないと悟り、絶望した末の行為だったかもしれない。

しかし三浦友和には子供たちに、わざわざ明かすことではないとして明かしていない事実があり、子供たちから見た先生像というのも少し間違っている。
とても見上げた人間ではないと思うが、大人像として絶望するほど酷い人間でもないんじゃないか。そこは三上の早とちりというか、まだ幼いなりの浅薄さもあったと思う。

しかしこんなの観たら、生半可な青春映画は作れませんね。

相米慎二の映画を観るのはこれでようやく3本目だけど、まだまだ分からない。どうしたらこんな映画が出来上がるのか。

【一番好きなシーン】
「おかえり」「おかえんなさい」「ただいま」