N

カラー・オブ・ハートのNのレビュー・感想・評価

カラー・オブ・ハート(1998年製作の映画)
4.8
90年代後半の若者がひょんなことから50年代白黒テレビの世界に入ってしまい、その世界の価値観を揺さぶることで色を与えていく話。大振りでコメディタッチながら「カラー派」と「モノクロ派」の対立から人種問題をはじめとした歴史上様々な「変化」をテーマに隠喩するような仕掛けがあり、林檎をもいだら月が見えるカメラワークなどには強いこだわりが見られて実はかなり作り込まれた作品だった。
旧来の価値観を持ち安定を求める「モノクロ派」が異変を察知するのがボーリング場であるのは、退屈を意味するboringのダブルミーニングだろうか。色づくことは変わることであり時に必要なことではあるが、作中で「モノクロ派」が吐露するように漸進的な方法を選択することもまたリアリズムの立場では重要だろう。
はじめはテレビオタクだった兄が元の世界に戻り、妹がテレビの世界に残ることになる結末はハッピーエンドだったのだろうか……。
N

N