開拓レースの迫力やべぇし、ここが核ではないという構造も凄い(シマロンとえらい違いだ)。悪党どもの軟禁から簡単に脱出し、ヒロインのもとへ向かうが誤解を残したまま去っていく姿は10年代から変わってない。 あとラストカットめちゃくちゃ凄いな…。壮大な叙事詩の終わりみたいな雰囲気。

最初の赤い河のような牛の大群やマキノ走りのような勢いの開拓レースも凄いけど、寝癖を切った髪をそっと隠すヒロインの手元のアップに感動した。

サイレント期の西部劇のスター、ウィリアム・S・ハートの最後の作品らしぃ。日本で言うとアラカンみたいなものか（顔の系統もなんか近い）。
それはそうと傑作ですよ。ロン・ハワード『遥かなる大地へ』に連なる西部土地獲得レースもの。冒頭、ハートの子分の男が女に見栄を張るべく腕にした時計でこれ見よがしに時間を確認するのだが実は時計に針がない、という場面。この一瞬で見栄の感情を表してしまう表現のレベルの高さに驚く。ハートがぶちのめした悪党の帽子のつばから延々と水が流れ出る描写も凄まじい。カットを割る度に水を足している。

酒場で子分に投げ縄をかけると扉の向こうへ飛んでいきヒロインを捕まえてしまうというアイデアの良さ。ヒロインがハートが寝癖を気にして切った髪を隠してやるショットも相当に洗練された表現だ。
クライマックスの獲得レースでの爆走の迫力は言わずもがな。