菜

オアシスの菜のレビュー・感想・評価

オアシス(2002年製作の映画)
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終始、緩やかな絶望感。たしかにそこに愛はあれど、救いようのない人間と救いようのない現実。だけど絶望的だと思っているのは観ている側…第三者だけなのかもしれない。彼女にとって彼は希望であり救いであって、彼にとって彼女はなんだろう…純粋に愛だったんだろうか。ラストシーン、これから彼女の嫌いな夏がやってくるんだなあ、もしもあの日帰らせていたら彼と過ごすことで嫌いな夏さえ好きになったんだろうか、などと野暮なことを考えてしまった。彼と夏を共に迎えられなかったけれどいつか帰ってくる、会えることを信じながら部屋の掃除をしている姿とoasisが本当のoasisとなった部屋に舞う埃を照らす日差しに胸が熱くなった。周りがなんと言おうとふたりで過ごした時間は何人たりとも犯すことのできないかけがえのない瞬間だったんだと思いたい。

演技がとにかく凄かった。
姫の歌声がいつか届きますように。
菜