deenity

百万円と苦虫女のdeenityのネタバレレビュー・内容・結末

百万円と苦虫女(2008年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

物語はスローペースに進む。苦虫女は常に保守的で他人との関わりから逃げて、常に百万円あるから何とかなると保険をかける。困った時は苦虫のように笑ってやり過ごし、少し安心できそうな人を見つけて恋をし、心を開かず甘えを見せる。そんな逃げて逃げて逃げてで進むストーリーだが、ラストは気持ちいい。

姉がいじめられても立ち向かう姿に尊敬し、いじめっ子に立ち向かう弟。私立受験を目指して得いたはずなのに、手を出したら受験できなくなることくらいわかっていたのに立ち向かった弟。自分の信念を持って真っ直ぐに成長する弟と、そのことを知り逃げるだけではいけないと気付かされた姉。

それを表す一度も手紙を出していなかったという事実も姉弟の生活を交互に映す構造も秀逸。「来るわけないか」という言葉には力強さと吹っ切れた心地よさがこもり、この作品をより深いものにしている。何とも考えさせるストーリーであった。

そして図抜けていい演技をした蒼井優も素晴らしかった。
deenity

deenity