皿と箸

哀しき獣の皿と箸のレビュー・感想・評価

哀しき獣(2010年製作の映画)
3.8
今作がチェイサーと違うのは民族問題というのがテーマに入ってきてストレートな韓国ノワールらしいエンタメ要素や残虐描写にプラスされて社会派映画的な重厚さが感じられるようになった点。

チェイサーから引き継がれたバトルシーンの斬新さはやっぱりこの監督の十八番的な部分として今回も楽しめたんだけど、今作はもうとにかく追走・逃亡のシーンが多い!それが序盤は良いテンションなんだけど何回も同じ展開が繰り返されるし、逃げ切れてる必然性が感じられなくて流石にもう捕まるだろ…と思わざるを得なくて退屈になってしまったのが残念。

ただそこに至るまでの前半部の張り込みシーンや殺し方のシミュレーションしてたり、やっと作戦決行かと思えば予想外の展開が起きたりという一連の流れはノワールファンには間違いなく高まること請け合い!

複雑な人物相関図も間違いなく一つの見どころなんだと思うけどこれは流石に詰め込み過ぎた感は否めず、なんだかよくわからないままにどんどん死んでく印象でした笑

そのサスペンス的な部分のストーリーの収束も結局最後は泥試合でおわり、クライマックスでは仄かに民族問題的なテーマを浮かび上がらせてくる辺りは映画としては間違いじゃないのかもしれないけど多くの日本人がこの手の映画に求めるニーズからはズレてたんじゃないかな〜。

サスペンス的な物語の軸と民族問題的な軸が共鳴しないままどっちも半端に終わっていったのが本当にもったい無い。
オープニングの狂犬病のシークエンス以上の話しでは無いように思えてしまう。
否応なくチェイサーと比べてしまうけどやはりあそこまでの作品を立て続けには撮れないよな〜と改めて思った次第です。
皿と箸

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