シネラー

仄暗い水の底からのシネラーのレビュー・感想・評価

仄暗い水の底から(2001年製作の映画)
3.5
YouTubeで限定公開されていたので、
だいぶ昔に金曜ロードショーで
放映されて以来の再鑑賞。
ホラーは好きでありながら
今よりも怖がりだった少年期でも
観れてしまったJホラーだが、
母娘の湿り気ある悲しい物語だと思った。

古いマンションに引っ越してきた
母親と幼い娘の身に奇っ怪な現象が
巻き起こっていくJホラーであり、
直接的な幽霊描写が多用される訳ではないが、
薄気味悪さがあるマンションで
文字通り水が滴っている環境下による
ジメジメとした雰囲気が
Jホラーらしいと思った。
基本的に関わっていく登場人物達も
暗い上に冷たい人物が多く、
嫌な雰囲気に拍車をかけるところだった。
幼い頃に育児放棄された経験を持ち、
離婚調停している状況に
怪奇現象を目の当たりにして
情緒不安定になっていく母親を
黒木瞳が演じており、
その回想を含めて嫌な生々しさがある
人物描写だと思った。
しかしながら、終盤においては
身を呈して一人娘を守ろうとする
親子愛に儚さが感じられた。

2年前に失踪した少女が
親子を悩ましていく幽霊なのだが、
その真相を母親が知っていく過程が
超速理解し過ぎると思った。
又、その少女の死因に関しても、
年相応と言われたらそれまでだが
理解しにくい言動ではあった。
そして、結末に関しては劇中の時間軸が
10年後となっていくのだが、
そこでの母娘の会話は救済
と言えつつも蛇足にも感じられてしまった。

終盤のエレベーターの場面は
相変わらずゾクッとするものがあるが、
それ以上に親視点でも子ども視点でも
悲しくなってしまう親子映画であり、
それが幼少期でも観れてしまった
要因の一つだと思った。
幼少期は風呂場や洗面所の排水溝にある
髪の毛が怖かったな…。
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