シネラー

エイリアンのシネラーのレビュー・感想・評価

エイリアン(1979年製作の映画)
5.0
最新作『エイリアン:ロムルス』の
予習としてシリーズの原点であり、
SF・ホラーの古典となった
本作を久しぶりに再鑑賞。
改めて、素晴らしいSF美術と
エイリアンの恐怖に魅入ってしまう傑作だ。

物語は2122年、
宇宙貨物船ノストロモ号が
知的生命体からと思われる信号を受信し、
船員が発信源となる小惑星で
サソリのような生物(フェイスハガー)に
顔面を被われた事を切っ掛けに、
誕生したエイリアンが次々と
船員を襲っていくSF・ホラーとなっている。
宇宙船という閉鎖環境で物語が進行し、
そこに入り込んだエイリアンに
追い込まれる恐怖感が強く、
脅かしやグロテスク表現は少ないのに
船内の暗闇から現わすビジュアルは
圧倒的な緊張感を与えていると思った。
シリーズの代表的な主人公である
シガニー・ウィーバー演じるリプリーだが、
本作に関して言えば先頭に立って
活躍していく訳ではなく、
窮地に立たされる船員の一人という
印象が強い事もあり、
宇宙船内での一連の出来事を描いた
ドキュメントを観るかのような印象を受けた。

H・R・ギーガーがデザインした
エイリアンのビジュアルは当然として、
1979年製作という事を感じさせない
ノストロモ号の美術も素晴らしく、
今となっては電子機器の表現に
古くささを感じない訳ではないが、
宇宙船内での大掛かりなセットは
世界観を浸るのに充分だった。
エイリアンが体内から突き出る
チェストバスターの場面や
終盤で判明するアンドロイドの場面は、
生々しい描写なだけに
幼少期のトラウマ場面の一つだった。
チェストバスターの場面に関しては、
出演者に詳細を伝えずに撮影したの
だから反応がリアルなのも頷ける。

宇宙船内という環境下での
未知の存在からくる恐怖を見事に
映像化したSF・ホラーであり、
徹底した世界観を描いているからこその
面白さだと思った。
"In Space, No One Can Hear You Scream."とは秀逸なキャッチコピーだ。
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