甲神山亘

シークレット・サンシャインの甲神山亘のレビュー・感想・評価

4.2
あまり馴染みのない田舎にやってきてどのように振る舞ったらいいのかも分からず、そこの住民からあまり友好的に接されることがない
シネさんがとても人間味があるからこそ終始かなり辛い。

「大金があると嘘を言わなければ息子さんが誘拐犯に命を奪われることはなかったのだろうか?」
という思いがきっと残り続けているからこそどんどん自分を追い詰めていってしまう姿がリアル。

ソン・ガンホさん演じるジョン·チャンもどこか親近感があり面白いキャラ。
いい加減なボンクラ感はあるものの善人であることは間違いなく、明らかに好意を抱いていたとはいえ心を病んでしまったシネさんのことを本気で想いながら側にずっといた。

ただシネさんの息子さんが誘拐されたときは一人カラオケで盛り上がっていて頼ろうとは微塵も思えない状態だったり、
シネさんへの接し方も終始不器用。

それでもシネさんを遠ざけることはせず、最後の最後でお互いに恋愛感情とは違う関係性が生まれたように見えたのが興味深い。

最後、タイトルである「シークレット·サンシャイン」を思わせる日差しが降り注いだシーンで終わるのもいくつかの重要な意味があるのだろう。

そして中盤での神を信仰している人たちの集まりのなかでシネさんがあの音楽を大音量で流すところは滑稽であるうえで宗教に対しての強い批判を感じれてとてもいいシーン。

それにしてもイ·チャンドン監督は人間のなかにある闇や弱い部分を描くのがとてもつなく上手いですなー。

言わずもがなチョン·ドヨンさんの怪演とソン・ガンホさんのカメレオンっぷりも見どころです。
甲神山亘

甲神山亘