青二歳

犬神家の一族の青二歳のレビュー・感想・評価

犬神家の一族(1976年製作の映画)
4.0
大野雄二のテーマとこのクレジット。市川崑は日活大映時代らへんとかオープニングで遊ぶんですよね。またフォントとかも面白くて。今作は随分カッコつけた明朝体オープニングです。素敵。ワクワク。テンポの良いカットワークで市川崑さすがのキャリアを見せつけてくれる佳作。

視点の動かし方のバランスが見事。ミステリーだと観客はどの視点に置かれるか演出が分かれるところですが、これは目撃者の目線だったり被害者の目線だったり、まぁ多様で。そうして行くうちに観客は数多い登場人物を理解してゆき、人間関係の複雑な田舎の空気を楽しませてもらう。
金田一は空気なので、探偵目線で証拠に迫る!というような事もない。この荒い目の織物のようなガチャガチャした感じが良いのですね。事件の動機や背景も単純でないように、映像の切り取り方も盤根錯節。
しかし織物となるからにはどんなに荒くとも織り目には法則性はあるもの。画面に共通する陰影の置き方が、映画としての完成度を品良く保っています。
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