タツベイ

ヒストリー・オブ・バイオレンスのタツベイのレビュー・感想・評価

3.6
終い込んだはずの暴力性が
再び剥き出しになる。
その暴力は本当に家族を守るのか。
暴力がもたらす本当の痛みとは。

クローネンバーグ監督のキモ映画を
全然観ていないので、比較できませんが
観やすい部類に入ることは確かやと思った。
暴力の本当の恐ろしさは痛みを伴うことではなく
その先にあることがよく分かる。
必要ないはずの死体の人体破損を一瞬だけ、
それでも確実に印象づけるように映すのもそのためかと。

自分自身の過去の暴力にまみれた生活や、
生まれ変わったはずの自分自身から
ふとしたキッカケで見られた暴力性の片鱗。
それらに最も苦しめられたのは
自らの家族であるということ。
これだけ暴力が何も解決しないことを分かっていながら
最後まで暴力でケリをつける。
全てが終わった後に家族で囲む食卓の空気。
単に暴力について語る映画ではなく
対比を上手く利用して暴力と愛を多面的に見せたような、そんな映画でした。
言ってもストーリーはかなり王道かつ単調なので
そこまで良作〜って感じはせんかったかなあ。
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