ブタブタ

13Fのブタブタのレビュー・感想・評価

13F(1999年製作の映画)
3.0
原作小説のタイトルは『模造世界』で
ライナー・ベルナー・ファスビンダー監督がTV映画化して先ごろ日本でも公開された『あやつり糸の世界』と同じですが約4時間の大作でファスビンダー監督の独自のシュルレアリスティックかつ鏡を使ったり、電子音だったり不安を高める独自の演出や、あの時代の近未来を想定したそれが逆に今見るとレトロで、何処にもない近過去の世界を作り出している様でやっぱり『13F』は『あやつり糸の世界』に比べてしまうと普通の映画な印象が拭えませんでした。

制作された年が1999年で仮想現実が舞台の『マトリックス』とちょうど同じ。
ローランド・エメリッヒが制作との事ですが当時全く話題になってませんでしたよね?

自分のいる世界が現実ではなく造られた仮想現実であり、何処まで行っても終わらない入れ子構造とアイデンティティの喪失と言うPKディック的な作品ですがディックとの違いはSFよりミステリーとして描かれてるところでしょうか。

ふと思ったんですけどローランド・エメリッヒ監督(本作は制作ですが)ってSFも撮れば歴史大作も撮るリドリー・スコット監督みたいな「巨匠」になりたくて果たせずにいる、そして自身の大ヒット作の続編の『インディペンデンスデイ・リサージェンス』みたいなバカ映画を図らずも撮るしかない今の状況を思うと余計なお世話ですがちょっと残念と思ったのでした。
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