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ソナチネのeyeのレビュー・感想・評価

ソナチネ(1993年製作の映画)
3.7
"ソナチネ" (1993)

>あんまり死ぬの怖がってるとな、死にたくなっちゃうんだよ

北野武 演じる ヤクザの組長 村川のセリフ

痺れた、、、

生の本能に対して自ら死に向かっていく

"自己破壊" 

を如実に表した表現でもある

S.Freud先生が聞いたら

「死に向かう欲動
"タナトス" そのものじゃないか!」

と 言いそうではある(勝手な妄想だけど)

"ソナチネ" もアウトレイジ シリーズと
結末的には変わらない形で作られている

コアなファンに支持された映画であり
興行収入の面ではダダ滑りしていて

「公開1/wで打ち切られた映画」

と汚点が付いている

ヤクザの組同士の抗争映画なのに

どこかあっけらかーん としている

"楽観的" という言葉が非常に当てはまる

舞台が "沖縄" という地こそが
のびのびさせる雰囲気を持っている

村川は おネエちゃんと遊んだり
仲間内で沢山の遊びを楽しむ

ロシアンルーレット
紙相撲
落とし穴
フリスビーの拳銃狙い撃ち
ロケット花火と拳銃
沖縄舞踊

特にロケット花火の交戦は途中から
銃をぶっ放してて 思わず吹いてしまった

ギャグ要素を突っ込んでくるあたりは
さすがコメディアン

ヤクザ同士のヒリヒリ感が描かれるよりも
ゆっくり 漂う 日常を過ごしていく

ただ 物語後半はそうも言ってられなくなり
いよいよ本格的な交戦に入っていく

エレベーターのシーンでは計算し尽くされた
カメラアングルがとても素晴らしく

村川・片桐・上地の3人がそれぞれ
下を向いて黙ってるシーンも素晴らしかった

登場人物自体 基本的に頭が弱そうで

「なんだ馬鹿野郎!(怒)」

と聞いたことのあるフレーズが沢山聞ける

北野監督が述べていた

>拳銃を使った人間は幸せになれないようなシナリオにしている

北野映画は因果応報スタイルが
潔くて コレにはとても爽快感がある

→自分がしたことは自分に返ってくる
→殺る人間がいるなら 殺られる人間もいる
→自分が殺すなら相手に殺される

この哲学に沿って物語は作られているからこそ
観てる側も少なからず救われる面がある

"悪" は "正義" には絶対に勝てない

その理念の元に迎える映画の結末には
妙な安心感と安堵感がある
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