第13回 弁セレ TBSラジオ賞
第30回 東京学生映画祭 グランプリ
「おろかもの」も凄かったけど「中村屋酒店の兄弟」も凄かった
兄弟として生き方・捉え方の価値観が時間の経過で大きく変わってしまった
実家の酒店はいつまでも昔のままだけど
取り巻く状況は確実に変わってしまっている
「語らない(セリフにしない)」
これを軸に兄弟でお互いに分かっている姿を観客が追いかける
兄がなぜ弟が地元に戻ってきたのか その背景に気づいたとき兄としての優しさを見せる
弟は兄が自分をフォローしてることに気づいたとき 東京に戻ろうとする
東京に戻ってどうするということは語られずひたすら顔に寄った ワンカットの あの素晴らしい表情を見せる
希望なのか絶望なのかは一切分からない
むかし兄が東京に行く弟に渡したという封筒に入ったお金を実家に戻ってきた時に逆に渡し返す
兄は一旦はそれ受け取るもラストで弟にお金を返す
「もうちょっとマシな封筒に入れてこい」
このお金が(おそらく)弟自身で稼いだお金ではないことが分かっている
この部分でも「語らない」美学を貫いてる
表情や感情と感情の間を上手く使って雰囲気や感性で観客に悟らせる
兄弟が店の前でタバコを吸うシーンは何度もある
そこに潜む微妙な空気感がシンプルだけど味を出し続ける
兄弟間の距離感と空気感をある意味シリアスに描いたことでお互いの未来を感じる作品だった