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アイズ ワイド シャットのtackyのレビュー・感想・評価

アイズ ワイド シャット(1999年製作の映画)
4.5
「性」を人間同士の繋がり、欲望と制止力の狭間での葛藤として描いた、キューブリックの遺作。

前半、欲望の核心を突く妻に、穏やかな理解者を装いながら、何も言い返せない夫。そこに、制止力の無い男性の本能を観せられているようで、衝撃的だった。

医師で、金持ち、イケメン、穏やかな性格の主人公は、
パーティーの二人組女子、薬物中毒の娼婦、患者の娘、ストリートガール、ゲイのホテルフロントマンなど、モテまくりで、いずれ深みに落ちていたと思う。

そして、破天荒な一夜によって、人生が変わるのだが、その後の執拗な探索など、観ているこちら側が、思わず
"Eye’s Wide Shut"
と言いたくなる輩で、
ラストシーン、気丈な妻の言葉に救われる。
まさに「今、直ぐにやる事」とは、唐突にみえるが、真実であると思う。それが、人間同士、特に夫婦の繋がりの根本であるからだ。
プライベートでの、キッドマンとクルーズには、それが無かったのかもしれない。確かこの映画の共演も、離婚の原因にあげられていた記憶がある。

クライマックス、妻の傍らの仮面を見た時の衝撃は半端ない。この主人公のみならず、誰でも嗚咽してしまうだろう。凄すぎる。

もっと作品を観たかったが、当時の突然の監督の訃報には、残念でならなかった。(確か暗殺説も出ていたようだ。)

もう一度、キューブリック恐るべし。
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