阪本嘉一好子

僕たちのアナ・バナナの阪本嘉一好子のレビュー・感想・評価

僕たちのアナ・バナナ(2000年製作の映画)
4.7
シャローム、このコメディには笑った。全ての登場人物の行動を楽しんだ。コメディに恋愛、宗教などを入れて、ユダヤ教やカトリックの世界も滑稽に描いているし、ジェイク役のコメディアン俳優のベンステラーには参った。表情一つ一つが彼の細かい心の動きを示しているし、ニュヨークの典型的なユダヤ人の『Seinfeld(となりのサインフェルド)というドラマのジェリー・サインフェルドと同様』ようだ(ベンはユダヤ人)。ジェイクとアナがこの映画に花を持たせたと思う。
ブライアン役はノートンでなくても良かったのではないかと思われた。それに、演技がいたについていないといったらノートンファンに罵倒されるだろうが。酔っ払いの演技もイマイチだしアイリッシュバーでの会話も
ううん???ごめんね。

それに、この二人の男性ジェイクとブライアン(エド ノートン)が惚れてしまった『恋愛をする時間がない』というビジネス思考一本のアナ。脚本家スチュアート・ブルムバーグが『アナの役は私たち(スチュアートとノートン)の好きなタイプの女性の部分を全部をとった人だ。』と言っていた。
二人が空港にアナを迎えにいったときのアナの見せた微笑みは最高だ。やっぱり、二人の憧れはアナ。力強いしね。これじゃ、取り合いになるのも無理はない。カトリックの神父はご存知の通り、結婚はできないが、一線を超えそうになったブライアンはアナがジェイクが好きだと分かったから神父のままでいられた。ジェイクは母親の言葉が気になり、ラビの立場だしユダヤ教でないアナをガールフレンドとして紹介できない。最後はめでたしめでたしだが。

最後のジェイクがヨンキポー(贖罪の日)で説教をするときの言葉が好きだ。
私たちは複雑な社会に住んでいて、この社会に対しての挑戦はユダヤ人としてだけでなく、人間としてもある。みなさんは自分を(ジェイク)を神へのガイドとして扱ってくれた。皆さんの人生を共有してくれた。いろいろあったろうけど、自分を信じていてくれた。ここ何ヶ月自分は皆さんの信頼を裏切っていた。ユダヤ人じゃない女性を愛した。彼女と一緒にいるかとかが問題じゃない。愛しているけど、問題は自分はこのことについて皆さんに話すことを恐れるべきではなかった。彼女を愛していることにすまないとは思わない。でも、皆さんを完全に信頼しなかったことに申し訳ないと思う。きょうは贖罪の日だ。皆さんの前に立っている今、ここで自分を許してほしいといいたい。
ジェイクのKeeping The Faithは信者に対してだった。ブライアンのKeeping The Faithはアナへの失恋の結果だったと思う。



この映画でクールなところはカラオケ器具は販売人のダンだ。いまでも、このシーンを考えると笑ってしまう。物凄くきついアクセントでジェイクとブライアンに話しかけるが、値段のことになったら、近寄ってと言って、急にアクセントを無くして話しかける。このシーンはうまく説明できないが滑稽で大笑い。
https://www.youtube.com/watch?v=MEhowqe68DU 最高!

ジェイクが地下鉄に乗っているシーンもあるが、この二人はニューヨークのマンハッタンで『タクシー!』といってタクシーを呼び止める。ニューヨークでイエローキャブは有名だが、私の観ているニューヨークの映画の99%は地下鉄/徒歩で動き回るニューヨーカーだ。このユダヤ人が多い地域はUpper Westside といってセントラルパークの西側だ。ジェイクの説教するシナゴークの中は色鮮やかで素晴らしい。このタイプのシナゴークを見たことがない。それで、調べてみた。
Congregation B'nai Jeshurun, West 88th Street and Broadway, Manhattan. ジェイクがラビのシナゴーク

蛇足

ノートンの大学時代とニューヨークに出てからのルームメートでスチュアートブルームバーク(Stuart Blumberg:映画ではアナが加州に戻るので乾杯しようと言う人))が脚本家だと。そして、二人でコメディータイプの映画をつくりたかったと。

ブライアンがスペイン語を話して懺悔を聞くシーンがある。そのあと、すぐアナと出かけるが、自転車を引いた男がふたりの間を通る。ブライアンが『こんにちは、レディオマン』という。このRadioman はニューヨークの名物男で、ニューヨークのどこで、映画のロケがあるか知らせてくれる人。