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火宅の人のdarumaのレビュー・感想・評価

火宅の人(1986年製作の映画)
3.8
GYAOの無料配信で滑り込み。凄い映画だった…!35年前?世代はあると思うが、昭和レトロ感なのにこの開かれた感じは何!?最後の歌がすべて持っていった…生を感じる(性もだけど笑)

女優さんたちが凄まじく(別に脱げばいいって事ではなく、本当に凄い)、特に松坂慶子さん!アイドルムービーかと思いました(笑。いやマジで!)めっちゃめちゃ可愛い表情してる。原田美枝子さん、お綺麗。役割的には不倫相手だけどこの上品さは何だろう…そしていしだあゆみさん!ただただ怖い(笑。いろんな意味で)まさに正妻…なんでも分かってる感(台詞にもあった)。180枚を手伝いに来た時が凄くよかった(よく来てくれるなぁ!と。時代なのか愛なのか)これぞ奥様。

公開時の私は小学生くらいですが、檀ふみさんと蟹江敬三さんは私の中の印象と全く変わらず!その当時に見た事ある数少ない俳優さんなのかも(子どもの頃はドラマや映画を観る習慣はほとんどなかったです。檀ふみさんは連想ゲームのイメージ、蟹江敬三さんは何で知ってたんだろう…)
檀ふみさんは特別出演になっていて何故だろう…と思ったら、原作の檀一雄さんの娘さんなのですね!(驚)

でも、やっぱり一番絶妙だったのは緒形拳さん。もうこの作品は緒形さんだからこそ成り立つのでは…と思うほど。優しくて許せてしまう雰囲気、そして誰からも愛される。あの「ですます調」がそう感じさせるのかな?素晴らしかったです。
(原作の方が東大卒の文豪の方なんですね…!私小説に近い物という事でとても納得。凄く雰囲気が出ていました)

最初は失楽園的な話かと思いましたが(失楽園も観た事ないのですが)、もっとテーマは壮大。人間は生きることに固執する、それは醜いような素晴らしいような、不思議な感じ。一雄さんの気持ちも奥さんの気持ちも、恵子さんの気持ちもみんな分かるような気がする…日本脳炎の息子くんがちゃんとキーになって活きてきたのが何とも言えぬ良さでした。
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