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ジョニーは戦場へ行ったのeiganoTOKOのネタバレレビュー・内容・結末

ジョニーは戦場へ行った(1971年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

もっと真面目な映画かと思ったら、意外とぶっ飛んでて良い意味で裏切られた。

決してビジュアルがグロいわけではないんだけど、悪夢描写が過酷で、行進のリズムと、ひゅるひゅるとか細い音のあとに異常なでかさよ爆発音という単純な音の繰り返しにあたま狂いそうになる。

キリストと呼ばれる男も不気味だし、障害者を見せ物にする家族観描写もおかしいし、父と母との距離感もバグってるし。
誰ともコミュニケーションとれなくて、時間さえ分からなくてやることなくて、時間を数え始めたけど、今がいつか、ここはどこかもわからず悪夢を見続ける。
クリスマスがわかったときもちょっと来た感動、みたいな描かれ方だったけど、異常な喜び方が虚しさをあおる。
戦争の不条理がここまでいっても、太陽!神様!とキリストありがたがる姿がこわすぎる。

殺してくれ、SOSとモールス信号を出しながら、寿命まで閉じ込められる地獄。
結局、盲目的な国への忠誠心を誓いすりこまれたアメリカのジョニーたちの命は、生かすも殺すも軍組織が握っている。
個人の自由などない。

追記
ジョーの父が、民主主義のために若者は殺し合い、息子を捧げると言ってて、真理!とか思ってしまった。
そんでイタリアの極右フランコ政権から逃げたルイス・ブニュエルが脚本に協力してるって聞いて、あのわけわからん悪夢トラウマ描写はおまえかー!などとアガった。
しかし、AVポルノのような都合の良い看護師は現実にはいませんからね、残念でした〜
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