KnightsofOdessa

哀しみのトリスターナのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

哀しみのトリスターナ(1970年製作の映画)
3.0
No.508[同じような変態ばっか見せられて飽きたのかもしれん] 60点

困ったときのブニュエルとファスビンダーって感じの扱いをしている気がするが、実は大好きなファスビンダーに比べてブニュエルの作品は"あぁいつものブニュエル"と安定感は感じるけど、そこまで好きにはなれない。最早ブニュエルの分身とも言えるであろうフェルナンド・レイがまたも変態拗らせおじさんを演じている本作品。登場後一秒で街を行く女性に"これからどちらへ?"と宣う変態性。加えて、金は貧乏人に渡ってこそと言いつつトリスターナの母親の遺品を高く売りつけようとしたり、同じ家に暮らすことになったトリスターナを家に囲って自分の都合で振り回したりする我儘爺さんが板についている。よくここまで変人キャラを創造できるなと常々感心しているが、今回はそれ以上でもそれ以下でもない作品だっただけに、出落ち感が否めない。片足を失ってほんとうの意味で籠の鳥となったトリスターナが徐々に死んでいくのは面白かったし、ラストの逆再生は反則だけど、やっぱりノリきれないのは毎回毎回同じような変態見せられて飽きたんかもしれんな。

一番好きなブニュエルは現時点で「昼顔」と無難な感じなのがムカつくけど、実はあんまり肌に合わない気もしなくはない。ただ、確実に二塁打くらいは出せるのがブニュエルであり、得点を得るまでには至らないものの心には残り続けている。
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