みゅうちょび

サスペリア PART2/紅い深淵のみゅうちょびのレビュー・感想・評価

サスペリア PART2/紅い深淵(1975年製作の映画)
3.2
ダリオ・アルジェント作品の中で1番評価が高いのがこれ。
衆知の通り、サスペリア2と言ってもサスペリアとはなんの関係もない話。原題は、Deep Red=深紅。

ヘルガという霊能者が心霊学会の講演中、その開場にいる誰かから異常な殺意を感じとる。その晩、ヘルガは彼女の住むアパートで何者かによって殺害されてしまう。

たまたま酔った友人と外で話をしていたピアニストでそのアパートの住人でもあるマークがそれを目撃し駆けつける。殺人現場で自分が見た光景に違和感を覚え、自らも事件の解明に乗り出すといういかにもアルジェントが得意とする内容。

アルジェント作品を観ると、いつも思うのは、警察よりも民間人の方がいつも事件の解決に積極的でしかも警察も民間人にお任せしまーすといった態度であるのが大らかだな〜と( ̄▽ ̄)

そんなことは、毎度のこととして、本作は、アルジェントの美的センスが冴えまくっています。

アルジェントのデビュー作「歓びの毒牙」よろしく、殺害現場の目撃者が現場で自分が目撃したはずの何かをどうしても思い出せないという設定がここでも使われているのだが、本作では、主人公同様に観客もその観察力と記憶を試される。ちゃんと見ていれば、そこに犯人が映っているという、なんとも挑戦的。

人形の使い方などは、後の「ソウ」のビリー人形に大きな影響を与えているのは間違いないし、当時はびっくりした、殺人現場である浴室でのダイイングメッセージとか、今では当たり前になっているけれど、アルジェントが走りという小技の効いた演出が冴え渡る。

主人公たちのコミカルなやりとりが若干ウザいけれど、真犯人がわかるとこの2人のやりとりにもどこか意味がある。相変わらず時間とかを無視した編集の雑さにもびっくりさせられるけど、他作品に比べたら全然ましなほう。
映像の一つ一つも美しくアルジェントが芸術的な映像作家であることが1番よく表されている作品だと思う。

ゴブリンの音楽もサスペリアに並んでかっこいい!
ラストの衝撃映像はトラウマもの。これも、最近ではよく見る残虐映像の一つかな。

個人的には「歓びの毒牙」や「4匹の蝿」の方が好きだけど…
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