たく

スリーパーズのたくのレビュー・感想・評価

スリーパーズ(1996年製作の映画)
3.8
少年院での壮絶な虐待の被害者達が大人になってから私的な復讐を果たそうとする話。「グッド・モーニング・ベトナム」「レインマン」のバリー・レビンソン監督の豪華キャストによる堂々たる完成度に、観賞後ずっしりとした充実感を味わえた。その中でもロバート・デ・ニーロ演ずる司祭が全部持って行った感じ。「グッド・モーニング‥」でホーク軍曹を演じたブルーノ・カービーが主人公の父を演じてて懐かしかった。原作が事実を基にした内容として公開されたのが、後にそのような事実はないと否定されたことがエンドクレジット後に説明されるんだけど、フィクションとしても話そのものに重みがあるので見応えあった。

マンハッタンにある移民街の「ヘルズ・キッチン」で貧しく育った仲良し4人組の少年が、あるいたずらをきっかけに少年院に入り、そこの看守達から壮絶ないじめに遭っていく展開。この地区の司祭が昔に悪事を働いてたことも関係してるのか、やんちゃな4人を暖かい目で見守ってて、彼らがこの底辺の暮らしから抜け出すよう導こうとしてる感じが何ともいいんだよね。その中で文才に長けたシェイクスが本作の語り手となり、生々しく綴る少年院生活が目も当てられない酷さ。

後半は4人が大人に成長した時代が描かれて、ある偶然の再会からジョンとトーマスが殺人容疑で裁判にかけられる。ここからシェイクスとマイケルの緻密な裏工作により少年院で受けた虐待の復讐を試みていくのが手に汗握るんだけど、これは果たして正義なのかどうかというのがモヤモヤするところ。その審判を下すかのように、裁判の証言者となった司祭が取る行動にジーンときて、ここのロバート・デ・ニーロが最高だった。若いブラッド・ピットの癖のない清潔感が今見ると新鮮。彼の少年時代を演じたブラッド・レンフロは「マイ・フレンド・フォーエバー」に出てたね。
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