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レクイエム・フォー・ドリームのKAJI77のレビュー・感想・評価

4.2
昨日に引き続き、00's産の鬱映画として有名な本作、『レクイエム・フォー・ドリーム』(2000)を鑑賞しました!

監督は『レスラー』や、『ブラック・スワン』などを手掛けた「ダーレン・アロノフスキー」。彼は"人間"という画題に造形が深く、実験的な表現と高い描写力で、これでもかと言う程に問題を叩き付けてくるパワー系の映画監督です。今作では、ドラッグ中毒であるキャラクター達の肩肘はらぬ姿を伝えます。💊💉

さて、テーマである「中毒」とは、「毒に中(あた)る」ということ。つまり、自分の体に対して処理しきれない程多くの毒を摂取することを指します。🦂
この意味で、この映画は模範解答とも言うべき見事な答案を提示しているように感じました。

というのも、今作が扱う「中毒」は、何も「薬物依存」に限った事ではなく、"カフェイン中毒"などの「物質依存」はもちろん、"テレビ中毒"にみられる「プロセス依存」、はたまた"セックス依存"や"宗教依存"をはじめとする「関係依存」など、この世の遍く"依存症"の実態とその破滅的な末路を包括的に映し出しています。そういう点では、同ジャンルの名作『トレイン・スポッティング』よりもマルチな側面があると言えるでしょう。(『トレイン・スポッティング』も大好きです…!☺)

しかし、上に記しました「テレビ中毒」なんて、正直「テレビっ子」との違いがあまりに曖昧すぎます。最近では「ネット中毒」とか「ゲーム中毒」なんて言葉があったり、「恋愛」すら「共依存」と勝手に解釈されることも屡々。ちょっと前に、WHOが2022年から「ゲーム依存症」を公式に精神疾患だと定義すると発表した事がニュースになったりもしましたね。🎮
これは、「自分は依存症ではないノーマルな人間だ」と一方的に思い込んでいる"偉い"大人達が、"自分と異なる性質"を見境なく「病気」だとする姿勢の現れだと思います。
このペースだとそのうち「"家族愛"なんて"病気"だ」と批判されるような日も近いのかもしれません…。(いつもの僕の行き過ぎた暴論に終われば良いのですが…。)

…何が言いたいのかというと、「依存」というのは要するに「有無の問題」ではなく「程度の問題」であって、気づいていないだけで"誰しもが生まれ持った性質だ"という事です。(人間も群れで生きている!)
「自分はヤクやってないし、やるつもりもないから大丈夫!」ではなくて、「自分は何に依存しているんだろう…?」とか、「"依存"と上手く付き合えているのかな…?」という風に捉えるべき作品だと、僕は感じました!

以上のことから、これももっと多くの人の目に留まるべき作品だと思います…!皆さんも是非1度鑑賞して、考えを巡らせてみて欲しいです!👀

…かく言う僕も"Filmarks中毒"気味なので、拗らせぬよう気をつけたいと思います!😷(時既に…)
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