n0701

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカのn0701のネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

狭い世界の中で、ガキの頃から一緒に悪さをした男たちが「その時代にどう生きたか」を描いている。

その時代は、アメリカで禁酒法が施行され、ギャングたちが表の世界の人間とつるんで世界を変えていった過渡期。

これは、男たちの思い出の詰まったアルバムのような映画だ。必ずしもハッピーエンドにはならない。

最後、ロバート・デ・ニーロ演じるヌードルが「マックスを名乗る男を殺すか否か」選択を迫られ、そして殺さずにそのゲームから降りるまでを描いている。

マックスを名乗る男は思い出の懐中時計を手に持ち、10年以上振りに再開した女優の子どもはマックスそっくりであり、仲間たちとの金も奪ったと口にする。

そのセリフや状況からは、彼がマックス以外ありえないことを告げている。

だが、ヌードルはマックスが仕組んだ最後の計画である銀行強盗を前に、ビビってマックスを警察に売り、自分自身は中国人が営む怪しい店でアヘンを吸ってラリっていたのだった。その不敵な笑みはマックスを裏切り、してやったりの顔だ。

物語はこの最後の笑みまでの壮大な伏線であり、その全てがこの笑みの理由となっている。

ガキの頃からつるむ男たちは、露店の本屋を燃やしたり、ものを盗んでは売りさばく人間のクズだった。

また、ケーキ1つでヤラせてくれる女の子をダシに使い、警官が未成年に淫行を働いているところを写真に撮り、弱みを握る。

だがある日、ものを盗んでは商売をするマックスとヌードルに腹を立てた年上の悪ガキは2人をボコボコにする。年上のガキは自分たちに従うように促すが、2人は決して誰の下にもつかないことを決意する。

ある日、船でブツを運搬する輩を捕まえ、分け前をくれたらブツを安全に運び込むと持ちかける。
ブツを浮き輪に付け、ブツの下に3トンの塩を括り付けたのだ。海水でやがて塩は溶け、数時間後には浮き上がってくる仕掛けだ。彼らはそこで得た大金をロッカーに仕舞い、いつか、皆で顔を合わせて取りに来ることを誓う。

だが、計画がうまくいき、浮かれているところを年上のガキに見つかり、逆上した年上のガキは、一緒につるんでいた少年を銃殺してしまう。ヌードルは銃殺した少年をナイフで刺し殺し、止めに入った警察官も刺してしまう。

刑務所から出所したのは十数後。すっかり大人になったヌードル。彼を出迎えたのはマックスだった。葬儀屋になった彼はかつての仲間と一緒に裏で仕事(チンピラ)をしていた。

ある日、デトロイトのダイヤを盗む仕事を受ける。仲間の1人が宝石商の妻から聞き出した情報だった。妻は性的にだらしない女だったのだ。

ある時、社会主義者の男がガソリンをかけられ、脅される。それを助ける葬儀屋の面々。彼らは今度はクリーンな活動家のバックとしてフォローする仕事を始める。

そして、新しい警察長官が行ったスト破りの警察導入などから活動家たちを救うため、警察長官に出来た産まれたばかりの男の子に付けられた番号を適当に入れ替え、本当のことを知りたければ警察導入を止めろと脅したのだった。

彼らが暴れ回る間、ヌードルには心残りとなることがあった。それはダンサーの女の子のことであった。子どもの頃から、捕まって出るまでの間、1度だって忘れたことがない女。

だが、女が求めたものは精神的な愛だった。レストランで素敵な時間を過ごし、車内から観る映画を横目にヌードルは体を欲しがった。しかし、女はヌードルを求めてなどいなかった。史上稀に見る最低の別れ方をする。

だが、今から考えると、そもそもこれもマックスが仕掛けだことなのだろうかとも思う。

そして、禁酒法が撤廃され、活動も収まり、隠れて酒造していた男たちは職に溢れる。マックスはあたかも狂い出しのはこの頃からだった。

怒鳴り声を上げてはヌードルを責め立てる。そして、銀行強盗の計画を口にする。

つまり、ヌードルは捕まってから、外に出て、外での暮らしまで、1から10までマックスの手のひらの上で動きまわっわていたに過ぎなかったのだ。

ヌードルはマックスが銀行強盗に失敗して銃殺されたと思い込む。しかし、それは替え玉で、当の本人は完全に別の人物に成り代わり、生きていたのだ。しかも、友人たちとの金も使って。

印象的なシーンやロバート・デ・ニーロの幼少期から老齢の姿まで演じ切る演技力。見事なものだった。

冒頭、銃殺される女とボコボコに殴られる男。逃げ去るように友人を訪れ、失われた金に気づき、一挙に蘇る過去の記憶。物語の視座が時間軸をごちゃごちゃに混在させても、なお、すっと頭に物語は入ってくる。

素晴らしい映画だと思う。
n0701

n0701