ブタブタ

助太刀屋助六のブタブタのレビュー・感想・評価

助太刀屋助六(2001年製作の映画)
3.0
既に何度もTVでやってるし見たいと思いつつ機を逃してて先日家に帰ったらちょうどやってて漸く鑑賞。
岡本喜八監督の遺作であり特撮ファンにはもはやゴジラと同じくらいリスペクトする存在である天本英世の遺作でもある。
しかし作品は正直イマイチ。
敵討ちってつまり「殺人」なわけだし刀って人殺しの道具だし、其れを振り回して人殺して「ドタバタ」や「コメディ」ってのがイマイチ納得出来ない。
助六は敵討ちの助太刀が趣味って何か『狼よさらば』の主人公が最初は復讐が目的だったのに次第に悪党をただぶち殺すのが目的の快楽殺人鬼になっていったのと話の構造が似てる。
「敵討ち」って人の死が介在する重大な出来事なのに其れをただ手助けするのが趣味って明らかにサイコパス(笑)
なのでいくら劇中て面白い事が行われてても話しに最後まで乗れなかった。
最後もあまりに馬鹿らしい種明かしで助六が生きてるハッピーエンドも之はコメディだからと言われたらそれ迄だけど。
美形の真田広之と愛姉ちゃんの旦那こと幼なじみの太郎役の村田雄浩が二人並ぶ姿は絵になっててよかった。
そして何よりも本作が岡本喜八監督の遺作となってしまったのですが次回作は何と山田風太郎の『幻燈辻馬車』で脚本は勿論、キャスティングも完了してて後はクランクインを待つばかりだったというのが大変残念。
山田風太郎の「忍法帖」と並ぶ代表作である「明治物」の本格的な映画化は初めてだったのでは。
幕末の動乱から明治の文明開化。
日本の新帝都・東京を舞台に自由民権運動過激派のテロリズムと其れを弾圧する薩長ファシストの国家警察。
その影に跋扈するどう考えてもミュータントか異能力者みたいなキャラクター達。
荒俣先生の『帝都物語』も可也影響受けてる作品。
映画化が実現しなかったのは残念。
因みにキャスティングは主人公の馬車引き干兵衛(鞭使い)は仲代達矢、敵のボス警視総監・三島通庸が緒形拳、そして本作で助六を演じた真田広之が干兵衛の息子・蔵太郎。
ヒロインお雛(幼女)の死んだ父親でお雛が呼ぶと干兵衛の馬車から幽霊になって出てくるって殆どスタンドみたいなキャラクター。
実写なら年齢が合わないけどお雛は幼女時代の芦田愛菜にしか出来ないと思う。
もし制作されてたら当然の様に天本英世さんも狂ったキャラクターで登場しただろうし『殺人狂時代』以来の異能バトル映画になってたと思う。
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