エリアス

Shall we ダンス?のエリアスのレビュー・感想・評価

Shall we ダンス?(1996年製作の映画)
4.0
1996年公開の周防正行監督作品。出演は役所広司、草刈民代、原日出子、竹中直人、田口浩正、渡辺えり子、柄本明。社交ダンスを通して人生を見つめ直す中年男性を描いたハートフルコメディ。第20回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を初め総なめにした名作で二度目の鑑賞。
平凡なサラリーマンの杉山(役所広司)は、会社にも家庭にも不満もなかったが、どこか虚しさを感じた日々を送っていた。そんなある日、会社帰りの電車の中からダンス教室の窓際に佇む舞(草刈民代)を見かけ、その美しさに目を奪われる。舞に惹かれて、そのダンス教室で社交ダンスを習い始めた杉山は、個性的な仲間たちとの交流を通して社交ダンスにのめり込んでいく。

兎に角、脚本が巧みだ。不純な動機でダンスを始め、舞に手厳しく拒絶された時に探偵(柄本明)が依頼人の妻(原日出子)に報告する時、夫婦を思いやって正確ではない報告をする優しさが素敵だ。その後も探偵がちょこちょこキーマンとなるのが面白い。脇役の竹中直人、田口浩正、渡辺えり子もいい味を出していて完璧だった。信頼関係の中で相手を守るという伏線が最後まで活きる芯の通ったところとヒロインである舞役の草刈民代の最初は冷たいがどんどん優しくなっていく変化、そしてラストの「Shall we ダンス?」に繋がるゴールも鮮やか。ただ、今の御時世だと女性視点だと単純に不倫映画と切り捨てられてしまう可能性があり、当時よりは評価されない可能性はあるな。
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