リッジスカイウォーカー

Shall we ダンス?のリッジスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

Shall we ダンス?(1996年製作の映画)
5.0
この作品の役所広司さんとほぼ同じ年齢になり、抱えている境遇もビックリするぐらいシンクロしています。

物語中盤、草刈民代さんに自分の気持ちを吐露するところは、もうねー、共感ハンパない。

自分よりも家族。
そのために費やしてきた時間をふと振り返ると、強烈な虚無感に襲われます。

もちろん歩んできた道のりは、何も間違ってはいないけど、何かが足りない。何かが欠けている。でもそれが分からない。

だからって何かに打ち込むものも見つからない。ただ毎日を過ごす日々。
「充実」はしてないし「満足」もしていない。
が、何かを始めるエネルギーは生まれないし、家庭があると生活サイクルも変えられない。自分の時間を変えるのは、多かれ少なかれ家族を巻き込むことになるから。

だから自分の中の火種にもう一度火がつく要素は、この物語のように不純な動機でも良いと思う。

これを見て思うのは、家庭を持ってしまうと何かを一緒に打ち込める仲間たちが無くなってしまうことが虚無感に繋がってるんじゃないかなってこと。

学生なら、周りは同年齢。
何かを学ぶにもスタートラインも同じ。
だから自然と仲間ができるし、何より「友達」ができる。

でも家族ファーストで過ごしてきて、ふと落ち着いてきた時、40を過ぎていて、周りに見ると仲間はいないし、学生の時のように一緒に行動を共にしてくれる友達もいない。

なんか一人、取り残されたような感じがする。要は孤独ってことなんじゃないかと。

側から見たら全然孤独じゃないけど、本人の心は孤独になってしまうんだろうなぁ。


人には必ずバックストーリーがあり、それが今の行動に繋がってる。

だからそういうことを知ろうともせずに、何かに打ち込んでる人をバカにする人たちは悲しいね。世の中に溢れてるけど、だけど、そんな雑音は気にしなくていいんだ。

人生は一度きり。

おじさんになったって、おばさんになったって、自分が心から「充実」していて「満足」しているなら、それが幸せってことなんだと思う。

そしてその行動が、他の人の心を動かして「充実」と「満足」が伝播していくなら、人間冥利に尽きるなぁと。

物語の始まりから終わりまで、何というか、感動・共感しまくっちゃって、終始涙が…。

この作品を作ってくれた周防監督にありがとうを言いたいです。


何だっていい。
心から寝食忘れて打ち込めるものをまた持とう。