一人旅

ファーストフード・ネイションの一人旅のレビュー・感想・評価

3.0
リチャード・リンクレイター監督作。

米国人ジャーナリスト:エリック・シュローサ―による2001年発表の同名ノンフィクションのリチャード・リンクレイター監督による映画化で、ファーストフードの闇を暴いた社会派作品です。

アメリカの大手ハンバーガーチェーン「ミッキーズ」のマーケティング部長として大腸菌混入問題に取り組む企業幹部、下請けの精肉工場で働くメキシコ不法移民、ミッキーズの店舗で働く学生アルバイトの女性ら、ファーストフードチェーンに直接的&間接的に関わる人々の人間模様を描いた群像ドラマです。

劣悪な労働環境で危険と隣り合わせの過酷な精肉業務に従事する不法移民たちの貧困と厳しい境遇、労災への対処が不十分で低賃金で移民を酷使する工場の使用者、不都合な問題には蓋をするチェーン本社の利益第一主義&隠蔽体質…とアメリカ・ファーストフード業界の闇を、経営側&労働者双方の視点により浮かび上がらせた社会派群像劇で、牛の屠殺、内臓の除去、血抜き、皮剥ぎ、部位ごとの切断、パテへの加工、パテの急速冷凍と箱詰め・出荷…と食用の牛が消費者の口に運ばれるまでの過程を詳細な映像で映し出した食肉ドキュメンタリーとしても興味津々な作品となっています。

ファーストフード産業の裏側を暴くルポを原作とした主張の強い社会派映画で、ストーリー性が弱いのが難点ですが、グレッグ・キニア、パトリシア・アークエット、イーサン・ホーク、ポール・ダノ、ブルース・ウィリス、アヴリル・ラヴィーンら豪華キャストの競演が見物となっています。
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