「ファニーとアレクサンデル」より面白い、ファニーとアレクサンデルのドキュメンタリー。
インタビューやナレーションを挟まず、たまに補足的にテロップが入る程度で、淡々と撮影現場を映している。
いち映画ファンから見れば退屈かもしれないが、作り手目線からすると垂涎もの。
何しろ、イングマール・ベルイマン監督の演出する姿が一挙手一投足見れるのだから。
ベルイマン監督は、親しみやすいおじさんという感じ。
自分の頭の中で思い描く画を、カメラの前で再現すべく、ひとりひとり役者を伴って、何度も行ったり来たりする。
基本的には撮影現場はとても静かで、和やかなムード。
役者は監督がどんな画を撮るのかほとんど想像がついていないようなキョトンとした表情で、ただただ監督の指示に従っている。
本当にこれで映画になるのかと心配になるほどに。
でも、実際に撮られている映像が、これですと比較されると、ここがああなってそうなるのか合点が行く。
どのようにすれば、映画の魔法がかかり始めるのか。
本作からそれを読み取るのは至難の業だが、大巨匠の生々しい現場の空気を繰り返し触れる大変貴重な一作だった。

ドキュメンタリー

• #ドキュメンタリー1980sZl
• #撮影ArneCarlsson
• #編集SylviaIngemarsson

☆☆☆★★★