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スキャナー・ダークリーのtakatoのレビュー・感想・評価

スキャナー・ダークリー(2006年製作の映画)
4.3
 前々から見たかった薬中作家ディックの薬中作品を、薬中俳優たちが演じた薬中映画。テーマはディックの得意としている現実と虚構が曖昧になる系のSF。ロトスコープを利用した映像が非常に独特なので酔いやすい人は注意。

 一応刑事捜査ものとしてある程度一貫性がある構成と終わり方だけど、それがかえってテーマの部分を弱めちゃったかな?。信じていた自分の過去すら曖昧になってくるところあたりの劇場版「攻殻」ぽい部分がぐらいが一番面白くて、ネタばらし的に意味や目的が明確になっちゃうと少々興ざめ。本当にどこまでが妄想だったのか?さっぱりわからなくなって終わりで良かったかな。

 ただ、薬中仲間たちのどうしようもなさとか、薬中の感覚を体感させてくれる映像とかは見事!。手法と演出意図がしっかりかみ合っているからこその効果だろう。考えてくることが漫画の吹き出し風になるとか、ラジオから流れてくる演出も面白かった。意欲作で見る価値十分。
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