LC

ピザボーイ 史上最凶のご注文のLCのレビュー・感想・評価

3.6
面白かった。

30分で配達出来なかった場合、代金は頂きません。
そう宣言するピザ店で、配達員として働く主人公は、時間を守ったことがない。
ある日、いつも通りにピザを配達した先で、「お金調達してきてちょ。きみの体に何かついてるっしょ、それ、爆発するんでよろしゅう、あと9時間な」と言われてしまい、命のかかった絶対的な締め切りを課されてしまう。
「 30 Minutes or Less 」という題名は、彼が働くピザ店の軽快な標語でもあり、時間を守れない主人公が時間内に目的を達せるのか、その緊張感を伝えてくるもの。
ただ、それだけでもないところが、素直に面白い。

爆弾とか殺し屋とか出てくるけれども、人が負傷する瞬間の描写に工夫がされているので、耐性なし人でも見やすい作品だった。下品さもあまり目立たないように思う。

課された9時間の中で、主人公は助けに応じてくれた友だちと共に、結構上手いことやる。
2人で慣れない銀行強盗をてんやわんやとこなして、お金は無事調達出来たし、あとは爆弾の解除コードもらうだけやな、と少しホッとしていたら、お金を渡してもコードが手に入らない。
そこから、残りの時間で、自分が直面している別の問題に対応していくことが求められる。それはつまり、ピザを注文した奴らに、爆弾を解除する気なんてない、ということだ。
主人公とその友だちは、混乱の中必死で頭を働かせていく。

彼に爆弾を取り付けた者たちの間でも、混乱が生じていた。
聞いてたんとちゃう、うっせえどうすっか決定するんはオレや、そゆこと言うならちょっと安全策取らせてもらうわ、正気じゃねえな。
そんな2人の混乱は、最終目的の為に雇っていた殺し屋にも広がっていく。
依頼料払えないのか、それなら標的をおめえに変えるがよろしいな、どこにおんねん、親父さんに聞いてみっか。
生死のかかった絶対的な締め切りが、主人公だけではなく、主人公を巻き込んだ者たちにものしかかっていく。
爆発までの猶予は、あと1時間。

襲い来る問題に何とか丸ごと対応して、それでもまだ追いかけられる、その時に、最後の30分が過ぎたことを知らせる場面は、とても印象的。
題名は、この「解放される最後の30分」を、文字通り解放感を付与して思い出させるものでもあった。
30分。その時間を守ったことがない主人公が、時間内に課題をこなすことで、今までの人間関係や仕事の問題も解決されたような、そんな感覚。
はあ、疲れたね。打ち上げでもしちゃうか、ピザとビールで。見終わった時にそうしたくなるくらい、緊張感のある時間だった。
結構てんやわんやのドッタンバッタンな軽い賑やかさが強いけれど、まあ兎に角、一杯やろう。一息つこう。
LC

LC