タイトルは聞いたことがあったが、自分とは関係ないと思っていた。
渋谷の文化村ル・シネマ宮下で佐藤真監督の特集があり、昔の日本のドキュメンタリーだから見ておこう、と思った。
新潟に水俣病があったとはあまり知らなかった。富山のイタイイタイ病は学校でならった記憶げあったが。
新潟と福島の境あたり、阿賀野川の流域に生きる、水俣病未認定のお年寄りたち。
水俣病よりは、そのふだんの生活にフォーカスしたドキュメンタリー。
田んぼをつくったり
もちをつくったり
魚を撮ったり。
舟大工をしていたおじいさんが、お茶を淹れるシーンから始まるが、アフタートークで撮影・小林氏によると、最後に撮ったそう。撮影に入る前におじいさん宅に行ったときに丁寧に淹れてくれるようすが、自分の知り合いのおじいさんに似ていたそうで、そのときに、撮影を担当することを決めたのだそう。
外の窓枠と花と、室内のおじいさんのショットが、まなざしするどく、美しい。
舟が出来上がったあとのおじいさんの表情もいい。
私は、自分の親に似ていると思った。
そのように、誰しも、このドキュメンタリー映画の登場人物のだれかに、自分の知り合いの面影をみつけるのではないだろうか。