KAJI77

ナチュラル・ボーン・キラーズのKAJI77のレビュー・感想・評価

3.9
これぞ"観る劇薬"…!!
クエンティン・タランティーノ原案、オリヴァー・ストーン監督作品『ナチュラル・ボーン・キラーズ』(1994)を鑑賞しました!

【あらすじ】
ミッキーとマロリーはアメリカ1のお熱いカップル。退屈で不条理な生活に怒り狂う2人は両親を殺害し、各地を訪れては殺人を繰り返す地獄への逃避行に駆り出した。これは、実話に基づいた、アメリカ最狂の物語--。

あまりの内容に各国で上映禁止となった問題作です。『プラトーン』(1986)でアカデミー賞作品賞を獲得したオリヴァー・ストーン監督と言えば、他の追随を許さぬ圧倒的な筆圧が印象的な映画人ですが、この作品はその中でも頭一つ抜けてぶっ壊れていました。(褒めてる)

「だれでも心に悪魔を持つ」
人を弒す事で「生」を実感する2人。注目すべきなのは"数字"の為にそれを執拗に追い続けるマスコミと、彼らを英雄視する若者達の描写。これだけ善良な市民を理由もなしに屠っておいて、それすらも刺激的なエンターテイメントとして仕立て上げるテレビ文化。それに熱狂する多感で愚劣な視聴者。本当にイカれているのはミッキー&マロリーだけでは無いのでは…?"恋は盲目"とはよく言いますが、"視覚的"にも"倫理的"にも「目を奪われていた」のは大衆の方だったのかもしれませんね。これが「上映禁止」になったという事実にも、どこかマスメディアに蔓延る独裁主義的なメカニズムを感じたり…。

唐突なアニメーションの挿入や他の作品のオマージュ、サブリミナル効果の活用などアバンギャルドで実験的な技法が鮮烈な本作ですが、「ただのサイケデリックな映像の集積」に終わっていないというのが、監督が反社会派の巨頭と崇められる要因でしょう。衝撃的でしたが、考えるべき所も多い1作でした!!
ロバート・ダウニーJrの演技にも注目です!
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