似太郎

無頼 人斬り五郎の似太郎のレビュー・感想・評価

無頼 人斬り五郎(1968年製作の映画)
5.0
【男の流転🌀】

ヤァ〜クザの胸はー、なぜに淋しい〜、黒ドスひとぉつ握りしめェ〜、おぉとーこが咲かす〜、死に花は〜〜、花なら赫いー、彼岸花ァ〜〜〜〜、ホイホイ〜〜〜〜🌺

第二作目『大幹部・無頼』で、それまでにない日活アクションにないヴァイオレンスな世界を展開させた小澤啓一監督が、再びメガホンを撮った第4作目。

名キャメラマンの高村倉太郎による、奥行きのある構図とロング・ショットの雨霰れ、切り返しの美学に痺れっぱなしの任侠映画の集大成的な作品に仕上がっている。

白山(佐藤慶)が後半部で「やくざはな、みんな死んだ方がいい、その方が皆のためだ」と言う。敵対する二人の男の友情。「俺の命を無駄にするな…」という白山の台詞がムネに迫る。

クライマックス。堤防から、工場、塩田へと、移動しながらの斬り合い。ロング・ショットと俯瞰を巧みに使って、壮絶さと闘いの愚かさを際立たせる。

死闘が終わり、夕陽が五郎の黒ドスに映え、落ちたサングラスに由紀(松原智恵子)の姿が映るショットで物語は幕を下ろす。ギリシャ悲劇に匹敵する神話性を放つ、無頼シリーズ中でも最高の濃度を誇る作品として知られる傑作。
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