えにし

極北の怪異/極北のナヌークのえにしのレビュー・感想・評価

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はじめてのふらはてぃ。ヘタなフィクションよりよっぽど映画してる。"生活"を映しているだけなのに神秘的。化学が発達した社会に住んでいる身としてはナヌークらの生活が"サバイバル"に見えてしまうけど、その視点を持っている時点で驕りを抱いてしまっていると気づいて愕然とした。今日獲れるか否かが明日の生死を分つということ。飽食のわたしたちにとってはそれは壮絶なことにしか思えないが、彼らにとってはきっと"日常"に過ぎない。犬が蹴られててかわいそう…と思うのもペット文化が染み付いてしまっただけなのかもしれないし。彼らにとってはセイウチの牙でつくったナイフのように、犬もまた"道具"としての側面の方が強いのだろう。明日死ぬかもしれない、という危機感が現代人よりもはるかに濃いであろう者たちは、それでも笑顔だった。文化人類学というのは"省みる"の延長なんだろうな。
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