しゆ

ヒートのしゆのレビュー・感想・評価

ヒート(1995年製作の映画)
4.1
アル・パチーノとロバート・デ・ニーロの共演。二人と『ゴッドファーザー』が好きなので気になってたけど170分に気後れしてしまっていた。
構成は群像劇調で刑事ヴィンセントと強盗団のボスニールの場面が交互に入れ替わりながら映し出される。加えて登場人物が多いので複雑な傾向で長尺ではあるけど各人物たちの背景を深掘りするためだからしょうがない。ジャケット画だけ見てアクションものかと思ったら派手なシーンは銀行強盗での路上銃撃戦くらいしかなくて、お互いがプロゆえに全体的に静かに淡々と展開が進む。そしてちょうど半分が過ぎたあたりでようやくヴィンセントとニールが対面する。彼らが面と向かって話すのはこのコーヒーを飲む数分しかないのに、仕事を離れればお互い一人の男であったり境遇や共感の繋がりを描くのがうまい。警察と犯罪者っていう絶対に相容れない役割を両者に置いてBGMもない最後の10分間をじっくり使った猛追、銃撃が一段と深みを増す。仕事には完璧主義だったニールがあのまま車を走らせていればイーディと暮らせたのに、ウェイングローを片付けに向かったところがハードボイルドの中に人間味を感じさせる。
タイトルの『HEAT』は作中の様々な関係性、状況に当てはまりそう。また年をとってから観たい作品の一つ。
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