だるまる

読書する女のだるまるのレビュー・感想・評価

読書する女(1988年製作の映画)
3.9
音楽・音を観るような映画だった。
1988年公開のフランス映画。
原題:La Lectrice(朗読者)
同タイトルの小説を映画化したものだそう。

ベートーヴェンの曲が全編において流れる。音楽も、美しいフランス語の朗読もすごくよくて、目を閉じても楽しめそう。
本を朗読するシーンが多いので、たくさんの本が出てくるのも魅力。
街並みや色彩が美しく、また、ストーリーがあるようでないのがよかった。
ちょこちょこ映像が大人向けだったりするが、ヒロインが飄々と振る舞うのがまたよかった。ヒロインの服装、訪れた家々・部屋がオシャレで眼福。(緑が基調となってるエリックの家が、個人的にはベスト。)
サントラはリリースされてないそう。あったらすごく欲しい。

読書が好きなコンスタンスは、目が疲れた同棲中の恋人に本『読書する女』の朗読を頼まれ、朗読しているうちにこの本に夢中になる。
本のヒロインに自分を投影し、朗読しつつ本の世界に入り込んでいく。

最後の、彼女と鏡の中の彼女が見えるシーン、まるで永遠の入子構造のようだった。朗読する彼女と本の中に投影されてる彼女を示してるようで、おもしろかった。
いい意味で感情が乗りすぎることのない作品で、音・音楽・映像が最高なので、いつ見ても寛げる気がする。読書は、朗読は、とても素敵だ。
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