三樹夫

ゴジラVSキングギドラの三樹夫のレビュー・感想・評価

ゴジラVSキングギドラ(1991年製作の映画)
3.1
前作より1000日後ぐらいの直接の続編。ハリウッド映画、恐竜、ムー、反核、バブルで浮かれていた日本への警告と色々な要素ごちゃまぜの珍味みたいな映画となった。
VSシリーズは通底として反核とハリウッド志向というのがあり、この映画はその両方がどちらも分かりやすく出ている。原発を延々作り続ける日本が核の象徴たるゴジラに襲われるのは避けられないのが描かれる。
ハリウッド志向というかハリウッドもどきは大森監督の趣味というのも大きいのだろう。「未来の子供に教えてやれ、スピルバーグ少佐」というとんでもなく恥ずかしい台詞があるが、スピルバーグ好きなんだろうなというのは伝わる。ただその表現の仕方よ。「Go ahead, make my day」の『ダーティーハリー4』の台詞もあったりなんかして洋画好きのなのは分かるけど、ただその表現の仕方よ。
『ターミネーター』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー』まんまやんけとなるも、何で歴史から消えたはずのゴジラの記憶があるのなど、ガバガバ過ぎて言及するこちらの方が悪い気すらするタイムパラドックスやヘニャヘニャのアクションなど、何処をどう真似したらこうなったのか、ハリウッド志向が明後日の方向へ飛びぬけちゃってこれはこれで珍品として成立しているような気にもなる。M11は『ターミネーター』だけでなく『鉄男』も入ってるね。
合成などやれることはやっていたり、決してふざけて作っているというわけではないのは伝わるも、あまりにも退屈過ぎる1944年パートなど辛い部分も多い映画だ。

21世紀以降さらに巨大化し世界を支配する日本を弱体化させるという、バブル崩壊以降毎年勝手に下り坂を転げ落ちている現在からすると苦笑するしかない。別に何もしなくても勝手に弱体化するぞ。
「ドラットっていうの」「可愛い~」のこいつ目腐ってんのか感。サイコパワーを高めるために薬でも盛られているのかな。

イカつい見た目とは裏腹に最終的にはいつもボコられる対ゴジラ戦績が悪すぎるキングギドラだが、じゃあメカキングギドラだと現状唯一といっていい好成績を収める。それでも試合に勝って勝負は惜敗みたいなものだけど。
都庁周辺でビームの撃ち合いというド派手な最終決戦はケレンが効いていて良い。VSシリーズは部分部分でケレン効かせて色々帳消しにしてくる。
メカキングギドラを操縦するエミーとゴジラのビームの撃ち合いという、すごくゲーム感が漂うが、この映画以外でも操縦系スーパーメカは出てくるが、役者的にはやることなくて困るんだろうな。レバーをガチャガチャこねくり回すかボタンを連打するかの、ゲーセンじゃないんだからみたいな、そんなわけない操縦がVSシリーズは散見される。

原田貴和子みたいな容貌の人って時代が一周回って今でも街で見かける。ただ大体の人がソバージュという、23世紀の人間もソバージュ。VSシリーズのソバージュ率の高さ。しかし80年代リバイバルされなかった髪型。ただ今風の、全体的にふんわりゆるめのパーマのネオソバージュというのもあるらしい。
ソバージュが流行った理由は、派手なメイクと服装に合う、家での再現性の高さで美容師が乾かしたのと自分で家でしたのとを同じにできる、意外と手入れが楽というのがあるみたい。VSシリーズでは三枝未希が髪切ったスペゴジから脱ソバージュが始まる。
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