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放浪の画家 ピロスマニのandesのレビュー・感想・評価

放浪の画家 ピロスマニ(1969年製作の映画)
4.0
冒頭から映像(カメラ)が良い。あまり馴染みのないジョージアの文化が丁寧に収められており、ショットとアクションだけでも「見れる」映画となっている。
ジョージアの画家ニコ・ピロスマニの伝記的ながら、どちらかといえば散文的なスタイルで、途中まではエピソードで勝負するタイプの映画かと感じた。意外だったのは後半の展開で、とぼけた味わいもあった前半から一転して、ストーリーを強く感じさせるシリアスな演出にスイッチする。このあたりは、リアルが追いかけてくるような感覚で、なかなか面白かった(ニカラが"発見"される映画の構造も活きてくる)。
映像やレイアウトにはかなり気を遣っており、どうやらピロスマニの絵画がモチーフとなっているよう。真正面やロングショットなど印象に残るカットが多い。
伝記映画としては意外と「女っ気(異性)がない」というのは珍しいと思った。かなり特殊なバランスの上に成り立っている作品だと思うけど、普通に見れてしまうのは、誠実な演出がベースにあるからだと思った。
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