安堵霊タラコフスキー

夢を見ましょうの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

夢を見ましょう(1936年製作の映画)
4.3
唐突に演奏隊から始まったかと思ったら実はパーティーの為に弾いていたってのが判明する軽妙な演出が正直一番面白かったようにも思ったが(音楽が鳴る度に彼らがオーバーラップするのも面白い)、ロックの名盤の殆どがそうであるように始まり方が良いと終わりまでその良い印象が続くものだから、そういう意味でこの手法もありなのかもしれない。

その後は同じ室内での違う時間帯の会話を映した演劇らしい場面がひたすら続くけど、そこで主に話すサッシャ・ギトリの演技が巧みなおかげで飽きるどころか終始感嘆しながら拝めたからそれだけで満足感を覚えた。

カメラワークも後年のドライヤー的に端正ながらも時折謎のカットインがあったりする点に一種の間抜けさがあってある意味面白かった。

色んな意味で他の作品同様演劇俳優のサッシャ・ギトリらしい作品になっていたけど、そんな彼の個性が感じられる作風はやはり嫌いになれない魅力があるし、現代においては彼の達者な演技が拝める点だけでも彼の作品群は貴重に思える。