Maoryu002

チョコレートのMaoryu002のレビュー・感想・評価

チョコレート(2001年製作の映画)
4.1
看守のハンク(ビリー・ボブ・ソーントン)はある囚人の死刑執行でミスをした、同じく看守の息子への憎しみを露わにするが、翌日、息子は自ら命を絶ってしまう。その後、死刑囚の未亡人で事故で息子をも失ったレティシア(ハル・ベリー)と偶然知り合ったハンクは、彼女に惹かれていく。

不寛容をユニークなタッチで描いて、そこに異人種間恋愛を上手く乗せた良作。
前半は親の支配、男性による支配、白人による支配、そのすべてが悲劇を引き起こしていく救いのない展開だ。

ハンクが嫌な奴すぎて、心変わりが急じゃないかと違和感があるんだけど、それだけ子供の死は大きかったってことか、あるいは自らが父親の支配という枷を外したことで、本来の自分に戻れたのかもしれない。

「チョコレート」とは、年配の白人ハンクの隣にいる若い黒人レティシアのこと。
確かに初めはハンクもそんな差別的な目でレティシアを見ていたんだろう。獣のようなセックスシーンと終盤のベッドシーンの対比が如実に関係の変化を表現していた。

ハル・ベリーは終始、身体と表情、すべてを使った鮮烈な演技。
車中でハンクが母子に手を差し伸べた理由を語り始めるところからの2人の芝居が出来過ぎで、セリフのない彼女の遠目でも分かる表情の変化が素晴らしかった。
もちろん、新しい墓とレティシアの微妙な表情で、観客にいくつもの想像をさせるラストシーンも秀逸!

マーク・フォースター監督はアクションよりも、「君のためなら千回でも」「オットーという男」や本作のような人間ドラマの方が相性がいいような気がする。

そして、繊細な青年ソニーを演じたヒース・レジャーは少ない出番でも絶対忘れない名演。
もう一人、ハンクの父親バックを演じたピーター・ボイル。老いてテレビ見てばっかでも、男らしさにこだわり続け、女性と黒人を蔑む老人役が完璧。彼に改心の道はなかったのか、あまりに悲しい息子との別れだった。
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