LEONkei

Jazz seen/カメラが聴いたジャズのLEONkeiのレビュー・感想・評価

3.0
1950年代からジャズ・シーンを撮り続けてきた、フォトグラファー〝ウィリアム・クラクストン〟のドキュメンタリー映画。

当時を知る関係者のインタビューやミュージシャンらの映像に、子供時代から青年時代にモデル〝ペギー・モフィット〟と出会うドラマなどを絡めジャズが心地よく流れ進んでいく。

伝説のレコードジャケットを生み出しミュージシャンはもちろん、ファッション界・映画界にも〝クラクストン〟の写真に魅了された人々は少なくない。

〝デューク・エリントン〟やウェストコーストジャズ界が生んだ最高のスター〝チェット・ベイカー〟など、蒼々たるジャズ・ミュージシャン達がまるで目に前で演奏しているかのようなの真の姿を写し出す写真。

一体、どのように撮っているのか…どのような気持ちで被写体と接しているのか…。

完璧なまでの構図や光と影の絶妙なコントラストが素晴らしいのは当然だが、最も写真で重要なことは被写体を有りのままに写し出すこと。

モデルに対し〈感情〉を入れるか入れないか…
賛否両論ある中で〝クラクストン〟は〈感情〉を入れることによって、信頼感を生み互いに共感することによって最高の瞬間を撮ると言う。

写真の良さは2度と来ないその一瞬を捉えることで、時間をファインダーという空間を通し覗き込む。
わずか0.3秒の瞬きをするのと同じように、シャッターを切るのはココロが繋がった瞬間とも言える。

奇抜な色や形、斬新な構図など必要はない。
最も難しく最も優れたモノとは、有りのままの姿を形にしたとき。
それは写真の世界だけでなく、いかに現実を形に表現できるかに人は日々葛藤している。

また写真の良さは、それを見た者の想像力が映像よりはるかに増すことでもある。
その想像は1枚の写真の見えない枠の外までも飛び越え、想像の拡大により無限の可能性を与えられる魅力を写真はもっている。


現実表現の『完璧なまでに単純』とは自分の追求することでもありますが、その〝単純〟ほど難しいモノはありません。
むしろ〝単純〟が恐怖や不安に苛まれることがあり、その〝単純〟の素晴らしさを表現できた瞬間は何物にも代えられない喜びがあるものです。

それは生き方も同じと自分は考えます…(u_u)
LEONkei

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