去年は、観たい映画を出来るだけ多く観られるように緻密な計画を立てるのが楽しくて、その計画どおりにひたすら観ました。でも、計画にこだわり過ぎて失敗もしてまして、今年は次の2つを大事にしたいと正月休みに考えました。
1つ目は、気分が乗らない時には観ない、ということ。映画を観るには、やはり感性が大切だと思います。体調が悪かったり、気分がイマイチだったりするのに無理して観ても楽しめないということが分かりました。できれば体調万全で「どうしても観たいっ」くらいの状態で観たいものです。
2つ目は、仕事や家族を置き去りにしない、ということ。仕事や家族があってこそ好きな映画を観られる、ということを肝に銘じたいと思います。去年は映画を優先して仕事や家族を放って観に行って後でひどい目に合いました。
で、今日は1つ目はバッチリOK、でも2つ目はNGという状態でこの映画を観に行きました。つまり、どうしてもどうしても観たくて、休日夜の家族団欒の時間を抜け出して観に行ったのです。
前置きが長くなりましたが、映画の感想です。
ニートの心の揺れを見つめる映画。
生きる目的も持たず、生きるための糧も産み出さない二十歳の青年の物語。
本日公開『蜃気楼の舟』の竹馬靖具さんの監督デビュー作。公開当時「日本のダルデンヌ」と評判になったと聞いて、ダルデンヌ兄弟好きとしては観ないわけにはいかないということで、1回だけの特別上映に行ったわけです。
確かにダルデンヌっぽいです。左右上下に振られる長回しの手持ちカメラが、社会から半分はみ出している主人公の生活のルーティンを重ねて写します。
でも、ダルデンヌ作品のような優しさや鋭さは感じませんでした。ただ見つめただけで僕は終わってしまいました。
ダルデンヌ兄弟を意識しながら観てしまったのが失敗だったんだと思います。これは別物として観るべきです。
ニートの心の揺れは生々しく描かれています。他を受け入れられない気持ちはよく分かるので、そこは自分自身のことのように思いました。でも、切ないほどではなかったかな。
ということで、観たい気持ちを募らせ、家族に嫌な顔をされながら観に行きましたが、それ程でもなかった、というのが正直な感想です。
こんなこともあるさ。
家族にはバツグンに面白かったと報告します。