tomひで

男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼けのtomひでのレビュー・感想・評価

4.0
個人的に男はつらいよシリーズの中で一番好きな作品「夕焼け小焼け」を4Kで観直してみた。久しぶりに観直したが、めちゃくちゃいい。

この「夕焼け小焼け」はいつもの寅さん一目惚れパターンと違って、偶然出会った有名画伯(宇野重吉)を中心に芸者ぼたん(太地喜和子)が知人に貸したお金が戻らないという話に寅さんたちが絡んでくる展開。寅さんにはどうしようもないお金や法律の問題を寅さんの人を想う熱がその問題を超えていく。現実的にはありえないが、寅さんの人情が人を巻き込み、お金に困っていた人がお金に支配されず、流されなくなる姿に爽快感を感じる。

映画の中で詳しく語られないが、老画伯が若き日を過ごした兵庫県龍野市を訪れ、かつての恋人であったであろう人と話すシーンがとてもいい。
「僕はあなたの人生に責任がある…」
「私この頃よく思うの、人生に後悔は付きものなんじゃないかしらって…」
白髪の二人の丁寧・簡潔な会話の中に、とてつもない深み、重みを感じさせられる。

男はつらいよシリーズを観て毎回思うのだが、地方の風景がとても素敵。今から47年前の兵庫県龍野市の風景、今では撮りたくても撮れなくなった昭和の風景、その街並み、何気ない佇まい、当時の当たり前の風景にやられる。これも映画の愉しみ。

男はつらよシリーズは全50本観てしまっているが、こういういい作品を観てしまうとまた2周3周としたくなってしまう(笑)
tomひで

tomひで