hajime363

かくも長き不在のhajime363のレビュー・感想・評価

かくも長き不在(1960年製作の映画)
5.0
素晴らしい映画でした。

理屈抜きに音楽、演出、台詞、演技などなどが心地よかった。

戦争という時代性の切り取り方も秀逸だと感じます。
一方で、物事を自身のバイアス(こうあって欲しい)を通して世界と向き合ってしまう。こと人間関係において自身が思い描く理想像を相手に求めてしまうという非常に普遍的なテーマを読み取ることも出来ます。
そして何より恋愛映画としての側面と、ある人物の出自を明示しないことによる「え、これ全くの別人だったら超恐くない?」という絶妙なバランス感覚がエンターテイメントとしての質の高さを担保していたように思います。

ラストも好きですね。必ずしも真実だけが生きる糧とは限らない。次の季節を待ち望むに足りうる希望が心にあれば。
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