Mackey

日本のいちばん長い日のMackeyのネタバレレビュー・内容・結末

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

前半が8月14日までのポツダム宣言受諾の決定までの上層部の政治劇、後半が15日の兵士によるクーデター(宮城事件)の顛末が描かれる。

批判として「戦争指導者の英雄視」があるらしいけど、鈴木総理や陸海首相などの人物は割と人格者や忠義に熱い勇ましい人として描かれているなとは思った。史実に詳しくないから分からないけど、もう少し利己的な損得感情はありそうだし、そういう人物は出てこない。
一方で、クーデターを起こした兵士たちからは、彼らの終戦を受け入れられないやり切れなさがすごい伝わってくる。愛国心など普段感じない自分でも彼らの葛藤は伝わった。立場や心情は少し違うけど、『この世界の片隅に』の玉音放送を聞いた時の主人公のシーンを連想した。
特に畑中のガンギマリの目の演技は迫力がある。「それが未練というものだぞ」と言われた後の崩れ落ちる姿も切なかった。

総理が「これからは若い人の時代だ」と言った次のシーンで、子供がクーデターを起こした兵士のビラを拾う繋ぎ方は戦後日本への注意喚起のように見える。
「日本帝国の葬式だからね」というセリフの後に鎮痛な面持ちの黒スーツの首相達を映すのも演出として効いてたし、そこにかぶさる決起を呼びかける兵士の大声は国そのものの断末魔のように聞こえた。

最初と最後の日本列島を映すシーンは自転する地球から1日の始まりと終わりを表しているのだろうけど、日没には大日本帝国そのものの終焉も感じる。

昭和天皇は直接映されないし、戦争責任の所在や他国に対する加害的な面は描かれていないけど、大日本帝国終焉時の悲哀と葛藤を次の時代への期待と責任に転換させようとする姿勢はすごく感じた。最後の戦死者のテキストの挿入も含めて、当時出来うる限るの表現を使って終戦と降伏を描いていると思う。

理解し切れないところもあったのでまた見直したい。キャスト見て児玉清出ててビックリした。
Mackey

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