このレビューはネタバレを含みます
紙幣偽造犯を追う、シークレットサービスの話。
如何にもジャンル映画なタイトルにしては、画作りやカット割りが決まっているな~と思っていたのですが、監督がフリードキンと知って納得。
彼の作品ならば、普通のジャンル映画に収まるはずはなく、期待は膨らみます。
印象的だったのは、主人公チャンスのキャラクター。
主人公(シークレットサービス)にも関わらず、女を情報屋として囲ったりと、やる事がゲスいんですよね。
最終的には犯罪者(FBI)の金を強奪する始末で、どっちが正義か悪なのか分からなくなってしまう。
この破天荒なキャラクターには、度肝を抜かれるものがありました。
演じる、ウィリアム・L・ピーターセンもマコノヒー似でカッコ良かったし、ケレンのある動きも面白かったです。
あと、忘れてはいけないのが敵役のウィレム・デフォー。
今ではすっかり、しわくちゃなオジサンですけど、当時はまだアラサーくらいで肌も綺麗。
今ならビル・スカルスガルドがやりそうな不気味な美形キャラを演じていて、この人にも二枚目だった時代があったのだな~と感慨深いものがありましたね。
さて、物語的には終盤で、まさかのチャンスが殉職。
まぁ、FBIを死なせてる以上、どこかで責任を取らされるとは思っていましたが、「ここで!?」というタイミングで死ぬので衝撃的でした。
そして、そこからは主人公が相棒のヴコヴィッチにバトンタッチ。
悪魔的な存在であるウィレム・デフォーを倒す事で、ヴコヴィッチは失いかけた刑事の本懐を取り戻したのかなと思うし、そういう意味ではちょっと『エクソシスト』を想起したりもしたかな。
最終的にはチャンスの跡を悪い意味で継いでしまった様ですが、この清濁を併せ呑む感じが本作のトンマナだと思うので、本作に相応しいラストだったのではないでしょうか。
終わってみれば、実にフリードキンらしい映画になっており、クライマックスのカーアクションは『フレンチ・コネクション』や『恐怖の報酬』に比肩するスリルがありましたし、捻りの効いたストーリーテリングも飽きさせません。
タイトルから「どうせB級ジャンル映画でしょ?」と舐めている人にこそ、見て欲しい作品です。