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沖縄やくざ戦争のbluetokyoのレビュー・感想・評価

沖縄やくざ戦争(1976年製作の映画)
3.9
実録ものといえば「仁義なき戦いシリーズ」なわけだが、では、それ以外となると、二匹目のどじょうとかキワモノみたいなものになってしまう。「仁義なき戦いシリーズ」の完成度が高過ぎたからなのだか。そんな中にあって、「沖縄やくざ戦争」は、例外的(といっていいのかわからないけど)に、傑作ではある。実録もので、「仁義なき戦いシリーズ」意外といわれれば、まず、この作品を選んで間違いない。
とくに、千葉真一さん演じる国頭正剛の造形が素晴らしい。こんな殺されっぷりは見たことがない。完全に主役を食っている。

簡単にあらすじ。実録ものに関してストーリーはあってないようなものだが、参考のために。
沖縄が本土に復帰する。やくざは、本土からのやくざの来襲に備えて、国頭正剛、大城を中心にして団結する。
とはいえ、普段はいがみ合っているやくざ同士なので一枚岩ではない。とくに、舎弟の中里(松方秀樹さん)と石川(地井武男さん)は対立している。
こうさらっと書くと、あたかも、沖縄地元やくざvs本土やくざ、のような構図になってしまうが、実際は、国頭だけが異常に、本土やくざに敵愾心を燃やしていて、まわりは、むしろ、そんな国頭をけむったがっていた。
国頭は、暴力的で狂暴なのだが、反面、常になにものか追われているように怯えているのだ。
国頭はなにを恐れているのであろう。もちろん、具体的には出てこないのだが、恐らく、国家暴力、軍隊、戦争、そういったものだろう。

そんなことをやっているうちに、本土のやくざはいつの間にか、クラブでカラオケを楽しんでいたりする。

国頭はさっそく、やくざ、旭会の幹部をホテルの玄関で、車で轢き殺した。

沖縄のやくざは顔を揃えて、やっべえ、国頭、なにやってんだ、あいつは、なにをやりてえんだ、とオロオロ状態。

とりあえず、中里と翁長が、大阪の旭会へ詫びを入れに行く。旭会の若衆、海津が対応する。激怒されるのかと思いきや、紳士的な応対。
と思ったら、国頭の首、持ってこいや、ということだった。

しょーがねえな、じゃあ、中里、頼んだぜ、ということで中里が国頭を殺すことになった。交換条件として、国頭の葬式には、沖縄のやくざは出席しない、ということ。もし、出席したら、沖縄じゅうのやくざから狙われてしまうから。

中里の舎弟の嘉手刈宏(渡瀬恒彦さん)が、国頭を射殺する。
ところが、大城や翁長は、いやあ、国頭の葬式に出ないわけにはいかんでしょう、とかなんと言って、ちゃっかり葬式に出席してしまった。

おかげで、中里と犬猿の仲の石川を筆頭に、中里一派狩りが始まった。たまりかねた中里は、旭会の海津に助けを求めた。
形勢は逆転、今度は、中里一派による石川一派狩り。石川一派は全滅する。

これで落ち着いたと思ったら、大城と翁長は旭会の沖縄支部長みたいになっていた。
ということで、中里の舎弟が大城を射殺する。

さらに、翁長と旭会の海津一派がレジャーボートで釣りを楽しんでいるところへ、中里と舎弟はモーターボートで殴り込み。銃撃戦になり、生き残ったのは、海津と中里だけになった。

最後の方、舎弟の一人が、中里へ、国頭さんに似ていますね、とふと言ってしまうシーンがあったりする。いつの間にか、みんな、国頭の亡霊に取り付かれてしまったかのように、銃を撃ちまくって殺し合うのであった。
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