突如現れた時空の歪みに飲み込まれてしまったのび太たち。鳥人間たちの世界・バードピアにたどり着く。しかし、その平和な世界には、大きな危険が迫っていた。のび太たちは、バードピアを救うべく立ち上がる。僕の映画館デビュー作。
やっぱ、グー助がいい。努力の男。幼少期のトラウマで飛べない鳥の男の子だが、熱い思いを胸にイカロスレースへ挑む。勇気ひとつを共にして!
鳥人間社会で自分の翼で飛べないってのは、相当な落ちこぼれのはずなのに、まったくふて腐れた様子がないのがスゴい。飛べないならグライダーで飛んでやると、必死にペダルを漕ぎプロペラを回す。なんでそんなに前向きになれるんだろう。今の僕には眩しすぎる。
ゲストキャラクターはよかったが、ストーリーは微妙。特にバードピアを作った鳥野博士の倫理観がゴミ。異世界だったとしても、現実をいじくるおはなしは、あんまりよろしくない。鳥人間の国の設定の裏側には人間のエゴと欺瞞があるし、ボスとして出てくる巨大竜フェニキアも、ただ生きてるだけで害獣扱いされてかわいそう過ぎる。
途中、バードピアの世界は、とある未来人の博士がたどり着いた現実のパラレルワールドで、そこで鳥たちを知的生命体に進化させる実験を行った結果、生まれたのが現在の鳥人間社会の礎だと言うことが明かされる。
そのパラレルワールドに、もともと住んでいた土着の巨大生物がフェニキアちゃん。それまで食物連鎖の頂点だったはずなのに、突然現れた不自然な進化をした種族に住処を追いやられて氷の下に封印されており、挙げ句、最後にはみんなにいじめられて駆除される。この仕打ちヒド過ぎない?
すべての元凶のマッドサイエンティストが、しっかりと報いを受けていないのが、本作の後味を悪くしている要因だと思う。 あんな巨大な生き物を、無闇にいじめるもんじゃないですよ。あれだけになるまでに、どれだけの淘汰があったか…。鳥人間を守ろうとするよりも、あの生き物を育んだ生態系に想いを馳せるのが学術的な姿勢だと思いますけどね。
見所は、フェニキアとの最終決戦で、ドラえもんのひみつ道具が悪い方悪い方に作用していくところ。ドラのドジだったり失敗だったりで、本来なら冒険を助けるための便利アイテムが、ぜんぶ裏目裏目になってしまうのがドン臭くてドキドキした。やっぱ、原理がハッキリとわからないテクノロジーは、軽はずみに使ってはいけないんだなあって、子供ながらに怖かったのを覚えている。
もう、なんか…、のぶドラの声を聞くだけで、ちょっと泣きそうになっちゃうな。夢を叶えてドラえもんよりも、ドラえもんのうたなんよ…。のぶ代さん長生きしてね。