ユースケ

HEROのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

HERO(2002年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

暗殺を恐れ、百歩以内には忠実な家臣以外近づけさせない秦王(チェン・ダオミン)に、十歩以内なら確実に相手を仕留める十歩必殺剣をぶち込むため、秦王の命を狙う残剣(トニー・レオン)、飛雪(マギー・チャン)、長空(ドニー・イェン)の三人の刺客を倒したホラ話をかまし、射程距離内に捉えようとする無名(ジェット・リー)による秦王暗殺計画。
史実上、秦王は始皇帝になるので暗殺は絶対に失敗するのはわかっていたので、暗殺の成否の部分は盛り上がりませんでしたが、ワイヤーアクションとスローモーションが効いた【マトリックス】みたいなアクションを見ながら中国の歴史が勉強できるお得な一本でした。

赤、青、白、緑、エピソードごとに変わるイメージカラー。悠久の大自然をバックにワダ・エミがデザインした衣装が舞う、鮮やかな色彩と華麗な剣舞が融合した幻想的なソードアクションが本作のみどころ。
琴の音と雨の音が響く碁会所で槍と剣を交えるドニー・イェンVSジェット・リー。
空を覆い尽くすほどの弓矢を舞を舞うように叩き落とすマギー・チャン&ジェット・リー。
無数の緑色の布が一斉に舞い落ちる宮殿に佇むチェン・ダオミンVSトニー・レオン。
特に、舞い散る黄金色の胡楊の葉が一瞬で赤く染まるチャン・ツィイーVSマギー・チャンの対決と波ひとつない鏡のような湖面で舞い踊るトニー・レオンVSジェット・リーの対決は必見です。

平和を望む刺客たちの命を懸けたメッセージを受け入れ、自分の一番の理解者が最大の刺客の残剣だった事を知り、やさしい王様になる覚悟を決める秦王。本作で描かれたのは始皇帝の暗殺の物語であり、始皇帝の誕生の物語だったのです。

恋愛話はくどいですが、上映時間が99分なので、中国時代劇の入り口としてオススメです。