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HEROのkanacoのレビュー・感想・評価

HERO(2002年製作の映画)
2.9
2000年以上も昔の中国。〈秦王暗殺〉をテーマに武術を極め信条や義を貫く者たちを英雄的に描いた物語。豊かで優美な色使いとワイヤーアクションを使用することで可能としたファンタジックで流暢・華麗なアクション演出など映像美への拘りが挑戦的でありマッチ!でもストーリーは私には合いませんでした🙏💦(140文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

『香港映画見ようね会』に参加させていただきます。XXXXXさん、ありがとうございます。

ただ申し訳ありません🥺💦今回かなり辛口になってしまいまいた(❸記載)。正直に記載しましたので、本作をお好きな方、会に参加されている方、これから鑑賞のある方はご注意をお願いします。

本気ですっかり忘れていたのですが、公開当時に映画館で鑑賞した映画でした😶今回はサブスクで22年ぶりに再鑑賞です。

◆あらすじ◆
2000年以上も昔。中国は7つの国に分かれ戦乱に苦しんでいた。中でも強力な力を持ち天下統一を目指している秦国の王(後の始皇帝)は他国が放つ刺客に常に命を狙われている状態であった。そのため忠実な家臣たちを除き、宮殿の中であっても誰も100歩以内の距離に近づけさせることをしなかった。ある日、10年をかけて独自の技を修得し偉業を成し遂げた〈無名〉という名の男が現れる。無名は中国最強とも謳われる3人の刺客を王のために成敗したというのだ。王に謁見を許された無名は1本の槍と2本の剣を持参して宮殿に現れ、その剣の持ち主であった刺客たちを倒した経緯について王に語り始めた…。

❶〈秦王暗殺〉をテーマに武術を極め信条を貫く者たちを英雄的に描くアクション映画

古代中国の戦国時代に勢力を拡大し中国史にて初めて天下統一を成し遂げた秦の王…秦の始皇帝。秦の始皇帝には王を暗殺するために他の国から数々の刺客が放たれました。その〈秦王暗殺〉の物語の1つとして、武術を極め己の信条を貫いた者たちを英雄的に描いたアクション映画…という感じです😀

天下統一を目指している秦国の王は、他国が放つ刺客に常に命を狙われており、忠実な家臣を除き誰も100歩以内の距離に近づけさせることをしませんでした。そんなある日、秦王の元に1人の男が現れます。名を〈無名〉。無名は1本の槍と2本の剣を携えて王の宮殿へ赴きました。その槍と剣は秦王を狙っていた中国最強とも謳われる3人の刺客のものであり、王のために成敗したというのです。秦王は無名に褒美と〈王と10歩の距離まで近づくこと〉を許します。そして無名は王を前に刺客を倒した経緯について語り始めます。

物語を紡ぐ登場人物は限られています。秦の〈王〉、王の前に現れた男〈無名〉、王を狙う3人の刺客〈長空〉〈飛雪〉〈残剣〉、そして〈残剣〉に仕えている侍女の〈如月〉。この6名のみ。〈無名〉が〈王〉に超人的な戦闘力を持つ刺客である〈長空〉〈飛雪〉〈残剣〉をどのように倒したのか…を回想で語り、語り終えたところで〈王〉がそれを嘘と見抜き、別のルートを〈無名〉が語り直す…というのを繰り返し最終的に真実が明らかになるという構成です。

❷豊かで優美な色使いと幻想的な演出を付加するアクションへの挑戦

印象に残るのはスクリーンいっぱいに広がる豊かで優美な色使いと、ワイヤーアクションをふんだんに使用することで可能とした、人間離れしてまるで仙人や仙女を思わせるような流暢で華麗なアクション演出かと思います。

〈無名〉〈長空〉〈飛雪〉〈残剣〉〈如月〉は作品の構成上1ON1で何度も剣を交えます。それはストイックなアクションというよりは、それを基に幻想的で美しい演出を付加して魅せることに重点を置いているように見えました。さらに水、布、風、木々、葉、音楽、書など外因も重ねて映像美をより前面に押し出します。特に衣装も含め、彩りたなびく〈布〉の扱いは印象的。〈極まった武術〉と〈英雄たちの信条や義、愛〉を両立させて描くことで英雄たるキャラクターたちを神聖なものへ押し上げようとするようです。

私自身が中国史やそれに含まれる人物伝に興味や心が動いたことが一度もないため、勉強不足でお恥ずかしい限りですが、どうやら「始皇帝の暗殺未遂事件」は古代中国の歴史書などに語られているお話のようですね。その事件のうち1回目は秦王の時代に起きているらしい🤔

具体的な内容と本作がリンクしているかは知りません(というかしていなそう)が、中国史や戦国時代のような乱世のロマンがお好きな方は興味を惹かれるであろうこの〈秦王暗殺〉という史実について、実はこんなエピソードであったのではないか…という1つの物語を提示し、それを英雄譚として―…もはや半分伝説や神話へと昇華するようにファンタジックかつダイナミックに演出したのが本作なのかな…という印象を受けました。

歴史系は本当の事件をベースに各時代の歴史家、伝承や口承や創作書物、映画演出など、さまざまな個人的思想が入り込んでリアルとフィクションのバロメーターの針は各作品によって大きく変わる印象があります。「〈秦王暗殺〉は秦王が中国の天下統一を成し遂げるための第一歩として重要な契機となった」…というエピソードを〈武・芸・義〉を持ち合わせる英雄譚として語るため、また最終的な〈真実〉及び〈無名の真意〉を語るのに繋げる上でも、この優美なアクションや演出へのチャレンジはマッチしていたのではと思います。

❸ストーリーは私には合いませんでした🙏💦(辛口注意)

私がとことん肌に合わなかったのはストーリーの部分。前述した通り本作は〈無名〉が〈王〉に刺客をどのように倒したのか…という回想を語り、語り終えたところで〈王〉が嘘と見抜き別のルートを〈無名〉が語り直す…というのを繰り返します。なので、長いことオーバーアクションを「ふむふむ」と真剣に見ていたのに1、2分で「それは嘘」とひっくり返され、また次の長々と説明された後に「それも嘘」というのを繰り返します。事態はラスト30分まで進みません。そのうえ、アクションは「色」は変えるもののそれほどバリエーションはなく想定内の場面と展開の繰り返し。

実は〈嘘〉ではなく〈頭脳〉や〈精神〉のピリリとした戦闘及び比喩的演出なのだという風にもとれますし、〈無名〉と〈秦王〉の探り合い、図り合い、気持ちの変化が〈嘘〉を挟んで推し進められるという、〈ストーリーそのもの〉ではなく〈ストーリーの構成〉について挑戦的である…と見るれるかなぁとも思いましたが、面白味を見出せなかった私にはやっぱり途中1時間ほど丸々カットでも〈物語〉になんら支障がないように思えてしまいます。

また見ていて「それに何の意味があるのか納得できない行動や嘘」が多く引っかかって仕方ありません。映画開始6分の時点で「刺客が多いために信頼する臣下以外の誰も100歩以内の距離に近づけさせない」前提があるのに「刺客を倒したら1人につき10歩から20歩ずつ近づいてOK」などという褒美も前提にあると説明された時点で私は「は?🙄」ってケンカ腰です。

登場人物たちや物語の中ではなく、制作側がこう見せたいという演出や〈あの終着点〉へ収めるため、メタ的な視点以外の理由で意味が見つけられなかった設定や行動が難点でした。秦王と観客に「嘘」と見破らせるための仕掛けだというのなら「あ、ハイ😶」としか言えませんが…。

📖🐝「❸で散々ネガティブを書いておいてなんですが、自分に合わなかっただけで映像美やアクション、中国の歴史が好きな方には楽しめる作品なのではと思います。❶の通り歴史の英雄譚を描く上でこの優美なアクションと映像は合っており、そこは本作の醍醐味であると思いましたし、俳優陣たちは疎い私ですら知っている方々ばかりで豪華!ただ、❷の通り私はストーリー面に退屈さえ感じました。

つまりは、そう、これは
…ザ、3.0!!(ΦωΦ)カッ(迫真)(私の最も普通という値)

から-0.1して2.9!!

あと、トニー・レオンの顔がイイ!!!!(大声)」
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